OB・OGの紹介

河合塾美術研究所出身で、さまざまな領域で活躍されている、先輩方からのメッセージです。
美術・デザインを学び、どのような仕事や活動をしているのか?受験時代の思い出は?
一人ひとりの生き方が“作品”のように魅力的なものです。

近藤 佳那子 さん

油絵専攻

Art Space & Cafe Barrack 店主・美術家

近藤 佳那子 さん

岩田 壮平 さん

日本画専攻

日本画家・武蔵野美術大学 日本画学科 教授・金沢美術工芸大学 非常勤講師・日展会員

岩田 壮平 さん

西村 卓 さん

彫刻専攻

彫刻家

西村 卓 さん

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繰り返し、選ぶこと。

私は現在ペインターとして活動すると同時に、同じくペインターの古畑大気さんと元電器屋を改装し、カフェとギャラリーが一つになったスペース「Barrack(バラック)」を運営しています。
自分の制作をする一方で、週の半分は自分でご飯や飲み物を出すカフェスペースと月ごとに作家を紹介するギャラリースペースを運営して生きています。また、食や音楽のイベントを企画したりBarrackというユニットとして全国のアートイベントやプロジェクトにも参加する他、スペースのある瀬戸市にてゆかりの作家たちと共に「瀬戸現代美術展」という3年に一度開催される芸術祭も主催しています。
一人きりじゃないとつくれないものと、誰かとでなければつくれないもの、種類の違うそのどちらの喜びも他では得難く生きていくうえで必要であり、その間を繰り返し行ったり来たりする中で、こういうものが私にとっての美術であるとだんだんわかってきた今日この頃です。

そして、振り返るとそういう今の在りようの源流には、予備校時代、「絵と私」という関係にどっぷりと浸かったこと、同時にその孤独を共有し同じ時間を過ごした同級生や先生に当たり前のように自分を肯定してもらった体験があると感じます。
千種のあのアトリエで、今がどういう未来につながるのかもわからずに絵を描いていた日々も、振り返ると今日のこの日につながっていたんだ、と感じる瞬間がたくさんあって、そういう経験が未知なものを選んでいく私を少しだけ支えて、この先もそんな瞬間をつくるために、一生懸命自分にとっておもしろいと思うこと、美術だと実感できることをやっているつもりです。
うまくいくことも、いかないことも、その時々でいくつも起きますが、せめて自分がよいと思えることを選んで繰り返し続けていくことが大事なのかな、と思います。

作品

  • 1.『bye bye』 撮影:城戸保 2.『おままごと』 撮影:園田加奈 3.『木陰の中の宇宙』 4.店内の様子

1.『bye bye』 撮影:城戸保
2.『おままごと』 撮影:園田加奈
3.『木陰の中の宇宙』
4.店内の様子

経歴

愛知県立芸術大学 油画専攻卒業
2005年度 油絵日曜専科/2006-2007年度 油絵本科
桑名高校出身

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目の前のことが好きで一生懸命になれたら、ちゃんと自らの道は開かれる。

はじめまして、岩田壮平です。現在、作家活動と大学の教員をしています。河合塾で学んでいた当時、高校3年生でしたが、私は絵を描き始めたのが高校2年生の冬期だったか3年になる春期だったかの講習からでした。受験生のときは専科で学びましたが、たくさんいる周りの仲間に比べ私は絵が下手くそで、にも関わらず負けん気だけは強かったように思います。
東京芸大も愛知芸大も多摩美大・武蔵野美大も受験しましたが落ちてしまいました。ただ唯一、金沢美大に合格し、悦び勇んで金沢での大学生活が始まったわけです。
大学在学時代は土地柄もあり、古美術や美術工芸が当たり前のように身近にありました。しかし大学での制作に至っては、それよりも海に潜ったり釣りや投網に凝ったり冬はスキーばかりをしていました。大学は実技の授業のほかに学科の授業もありましたが、ほぼ遊んでいた思い出しか…ありません。
大学時代、制作に関してもちろん何も描いていなかったわけではなく、絵を描くことは好きだったので、気が向いた時間に好きなものを描いていました。
最近の大学の授業は、どこもしっかりと先生が教室を周り、学生とコミュニケーションをはかりつつ指導をしてゆくのが当たり前となりましたが当時は、先生方も緩やかであまり指導らしい指導をするというよりも、先生と生徒が一緒になって遊んでいたように思います。日々、先生と一緒に釣りをしたり、ときにご飯を奢ってもらいながら、互いに他愛もない話をする毎日がそこにはありました。

そのような中でのある日の会話のやり取りが一つ。先生と一緒にご飯を食べながら、こう尋ねたことがありました。
「私は大学を卒業したあと、作家になることはできるのでしょうか?」と。
そんな漠然としたことをふと先生に聞きました。その応えは、
「そんなこと、私にはわからない。わからんが、神様がお前に絵を描き続ける道を授けるのならば、ちゃんとその道に進むだろう。が、しかし神様がお前にそれ以外の道でもっと素晴らしい道がある。そちらへ進む方が幸せだ。とご判断されたら、きっと自然にそちらへ進んで行くだろう。だから、そんなことを考えるよりも描くことが好きだったら、いまは一生懸命それをやるしかないだろう」と、…。
他にも先生との対話はあるのですが、その中でもとくに印象深く、このときの言葉はいまもなお事あるごとに思い出されます。悲しいとき、嬉しいときも、その言葉を思い出しては、「大丈夫!自分はきっとこれで大丈夫」と、言いながら自らに起こるできごとを受け止めつつ今までやってきたように思います。
現在、大学で教員をしていますが、学生達と接するたびにさまざまな将来の不安と悩みを聞きます。その都度にこのエピソードを交えて伝えています。
“先のことは確かにわからない、でも大丈夫!いまどんなに劣勢で不安があっても、幸せ過ぎてかえって不安になっても、なんにも無いから不安であっても、大丈夫。きっと、目の前のことが好きで一生懸命になれたら、ちゃんと自らの道は開かれる” ってね。

作品

  • 1.『草本花卉墨畫』第9回改組新日展より 2.『何も見えない』第7回改組新日展より 3.『花泥棒ー雪月花時最憶君』第6回東山魁夷記念日経日本画大賞展より 4.『flower's spirit』 5.REALISM 現代の写実ー映像を超えて 東京都美術館より

1.『草本花卉墨畫』第9回改組新日展より
2.『何も見えない』第7回改組新日展より
3.『花泥棒ー雪月花時最憶君』第6回東山魁夷記念日経日本画大賞展より
4.『flower's spirit』
5.REALISM 現代の写実ー映像を超えて 東京都美術館より

経歴

金沢美術工芸大学 大学院美術工芸研究科絵画専攻修士課程修了
1995年度 日本画専科
緑高校出身

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作家活動の芯となった河合塾。

僕が美大へ進学しようと決めたのは、高校2年生の春でした。高校は普通科しかなく、デッサンすらしたことがありませんでした。美大をめざしたきっかけは「ノートの端っこに描いた落書きを前の席の友達に褒められたから」。その小さな喜びを胸に飛び込んだ美大への道は、僕にとって先の見えない険しい道のりでした。
入塾してすぐに僕はとても不器用で、壊滅的にデッサン力がないことを思い知りました。
何度思い返しても、本当にできの悪い生徒だったと思います。
基礎科ではうまく描ける周囲を見ては落ち込んでしまう日々でした。そんなときに先生のすすめで、彫刻科の体験授業を受講しました。生まれて初めて実際に生きているニワトリを前に彫刻をつくり、身体全体を使って造形する楽しさや喜びに衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。直感的に彫刻科しかないと感じました。
3年生になり、意気揚々と彫刻科へ進んだのですが、僕の壊滅的なデッサン力は相変わらずでした。コンクールでは常にビリ、その年の受験はすべて不合格。
浪人生になっても全然うまくいかず、万年ビリでした。それでも続けられたのは、先生方の厳しくも愛にあふれるご指導のおかげです。
なんとか多摩美大に合格し、同大学院へ進学しました。
在学中はとにかく作品制作に打ち込み、同時に学外での個展やグループ展を精力的に開催しました。その活動を認めてもらい、同大学の助手も務めさせていただきました。
今は小さなアトリエを構え、彫刻家として作品発表のほか、ワークショップやさまざまなジャンルの方や企業とのコラボレーションなど領域を横断しながら活動しています。
最後の最後まであきらめないこと、本気で作品と向き合うこと、作品に責任を持つこと、自分の作品を愛すること、自分が自分らしくあること。
河合塾で教わったことは、今の作家活動の芯となって今も僕を支えてくれています。

作品

  • 1.DREAMS・2014年制作 2.可動産シリーズ 3.個展「拡張都市」展示風景(2018年)・銀座蔦屋 4.個展「埋める/埋もれる」展示風景(2021年)

1.DREAMS・2014年制作
2.可動産シリーズ
3.個展「拡張都市」展示風景(2018年)・銀座蔦屋
4.個展「埋める/埋もれる」展示風景(2021年)

経歴

多摩美術大学 大学院美術研究科彫刻専攻前期博士課程(修士課程)修了
多摩美術大学 彫刻学科卒業
2007年度 基礎高1・2年専科/2008年度 彫刻専科/2009年度 彫刻本科
南山高校(男子部)出身

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吉田 昇 さん

デザイン・工芸専攻

インハウスデザイナー

吉田 昇 さん

岡 つくし さん

デザイン・工芸専攻

株式会社ファイブフォックス ビジュアル担当

岡 つくし さん

土屋 さおり さん

美術総合・京都市芸大専攻

CMFGデザイナー

土屋 さおり さん

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好きなことをして生きていたい。

今の仕事に就いた一番根っこにある理由は、好きなことをして生きていたい、という単純な気持ち。河合塾で日々の制作に取り組む中で、自分が大切に感じるものが表現の手前にあるコンセプトにあるらしい、と気がつきました。毎日、自分の1歩2歩先にいる同期や先輩方の作品に触れ、憧れのデザイナーの仕事を知り、先生方の言葉を聞き……。刺激と学びは尽きませんでした。常に悩み、悔しい気持ちも抱える日々でしたが、日ごとに自身が更新されるあの生活と環境は、かけがえのないものでした。
今、デザインを仕事にしています。実は、それは当時描いていたデザイナーという職業像からは違った姿なのですが、自分が大切にしていることは変わっていなかったりします。そういうものを見つけられたおかげで、今のところ、好きなことをして生きていられています。これからもそうありたいと思います。

作品

  • 1.担当ブランドでの仕事。ブランドや商品ごとに外部パートナーと協力し開発しています 2.『unwall』学生時代から続けている個人ワーク 3.『The Tale of Humanity』映像作品

1.担当ブランドでの仕事。ブランドや商品ごとに外部パートナーと協力し開発しています
2.『unwall』学生時代から続けている個人ワーク
3.『The Tale of Humanity』映像作品

経歴

金沢美術工芸大学 視覚デザイン専攻卒業
2014年度 デザイン・工芸本科
岐阜工業高校出身

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経験が今の自分をつくって支えてくれています。

私は東京芸術大学を卒業し、現在はアパレルのビジュアル面でのデザインなどの仕事をしています。ウィンドウのデザイン、用材制作、店舗の内装などを行っていて、受験のときに学んだことや、大学での経験がとても生きています。
現在受験生の皆さんにお伝えできることは、今やっていることは将来必ず役に立つし、自分の武器になるということです。
私は受験生時代、友達に恵まれていたので浪人中もみんなで楽しく制作していました。それでも周りと比べて自分ができていないことや、頑張っても報われないときはしんどくて泣いたこともたくさんありました。そういうときはいろんな展示会や、好きな空間にいったり、自分が好きなものを見つけることをして切り替えていました。
そして、今までの自分の考えを改めて、自分ができていないことを認めて、上位にいる人の作品と見比べて何が足りなかったかをきちんと向き合うようにしました。分からないことや、なんで良くなかったのかはちゃんと先生に質問したり、先輩に聞いたりしました。そうするとこれまでの作品と変わって自分でも分かるくらい上達するようになったのを今でも覚えています。その頃にした経験が今の自分をつくっていて支えてくれています。今できることを精一杯やって将来の自分のために頑張ってください。

作品

  • 1.put on a tail fin 2.silver ring 3.犬みたいな人

1.put on a tail fin
2.silver ring
3.犬みたいな人

経歴

東京芸術大学 工芸科卒業
2012-2013年度 基礎高1・2年専科/2014年度 デザイン・工芸平日専科/2015-2016年度 デザイン・工芸本科
日進西高校出身

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私ならではの強み。

昔から絵を描いたり物づくりをすることは好きでしたが、高校生の頃テレビで見かけたレーシングカーのグラフィックに憧れたことがデザイナーを志すきっかけでした。
高校生の頃から自分の興味を持ったデザイン分野がプロダクトデザインであることはわかっていましたが、さまざまなデザイン分野を学んでからプロダクト・デザイン専攻に分かれるカリキュラムに惹かれて京都市立芸術大学デザイン科に進学しました。
大学入学後は興味の赴くままたくさんのデザイン分野に挑戦し、中でもファッションデザインに夢中になりました。
コンセプトを考えデザイン画から型紙を製図し生地の質感や色を選び服に仕立てあげる作業は、立体と平面を行き来する中でしか生まれない魅力があり、卒業制作でもファッションデザインを行いました。
そして、ファッションデザインやプロダクトデザインの課題を通して、自分のデザインは常に「誰かを幸せにすること」を第一に考えていることに気づきました。
「誰かを幸せにするデザイン」を達成するために趣味性の強いプロダクトのデザインをしたいと考え、現在はバイクや自転車のCMFGデザイナーとして働いています。乗り物の色や素材、グラフィックのデザインをしていく作業は、ファッションデザインで行った立体と平面を行き来するデザインの経験が役に立っていると感じています。
プロダクト・デザイン専攻に在籍しながら行ったファッションデザインの経験は他のCMFGデザイナーが持っていない私ならではの強みとなりました。
分野にとらわれずさまざまな分野のデザインに自由に挑戦できた大学の環境、先生方にはとても感謝しています。

作品

  • 1.卒業制作 結ふ 2.バイク乗りのためのアプリのUIデザイン 3.ファッションショーでの作品「saintly」

1.卒業制作 結ふ
2.バイク乗りのためのアプリのUIデザイン
3.ファッションショーでの作品「saintly」

経歴

京都市立芸術大学 プロダクト・デザイン専攻卒業
2014年度 基礎高1・2年専科/2015年度 京都市芸大専科
桜台高校出身

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別所 洋輝 さん

油絵専攻

画家・高等学校美術科教諭

別所 洋輝 さん

鈴木 靖代 さん

日本画専攻

日本画家・愛知県立芸術大学 模写制作班従事

鈴木 靖代 さん

土井 彩香 さん

彫刻専攻

大理石彫刻家

土井 彩香 さん

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表現を楽しみ、追求し、そして没頭しよう。

私は今、自分の母校でもある高校の美術科で油画を教えています。大学を離れてはや15年が経ちましたが、日々高校生と油絵具にまみれながら教え、また教えられることもありながら制作と発表を続けています。
河合塾には浪人した2年間、お世話になりました。現役での受験で打ちのめされ、尖りに尖った自分は河合塾に通い始めましたが、偉そうなこと言ったり、先生の言うこと聞かなかったり、浪人生なのに作家みたいな態度だったろうと、思い返せば恥ずかしくなります。
そんな自分でも、ビル群の中にありながらゆっくり流れるアトリエの空気と、個性豊かな先生方にしっかりと受け入れてもらえた場所だったと感謝しています。浪人生ですから、毎日毎日絵を描きます。毎日が「探検」でした。いろいろなハードルをクリアしながら目的地にたどり着く日もあれば、道に迷って1日終わる日も。終わることができず遅くまで居残って出口を探したり、気分を変えるために今池あたりまで散歩したり・・・。
その時間の中で、思い返せば一緒に過ごした友人との会話や作品がヒントになったり、先生のアドバイスがきっかけになったり、あのアトリエの濃い時間がとても大事だったと感じています。
河合塾での2年間、高校生でも大学生でもない時間の中で、ひたすらに探り続けました。大学合格という結果以上に、表現者として生きていくための価値観やプライドを得ることができたのだろうと思います。
自分のやりたいことにひたすらに打ち込める時は人生でそう多くはありません。また、社会が大きく変化をする今だからこそ、表現すること、その手段をもつことはとても重要になると思います。表現を楽しみ、追求し、そして没頭してください。必ず、今は見えないものが見え、そして自分らしい生き方につながると思っています。

作品

  • 1.いたりあの人(oil on cotton 2019)2.窓(oil on cotton,wood 2021)3.Could not became a person(oil on cotton 2021)

1.いたりあの人(oil on cotton 2019)
2.窓(oil on cotton,wood 2021)
3.Could not became a person(oil on cotton 2021)

経歴

愛知県立芸術大学 油画専攻卒業
2000-2001年度 油絵本科
加納高校出身

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自分を信じてやりたいことをやりきってください。

現在、私は日本美術院に所属し作家活動をさせていただきながら、NHKの講師や模写の活動に携わらせていただいております。
河合塾美術研究所に入塾したきっかけは、塾のウィンドウに飾られている作品を見て同じ歳の学生がこんなに描けるようになるのだと思い、高校1年生のときに基礎専攻に入塾しました。漠然とうまくなりたいと思っていたのが、しっかりと目標を持ち始めたのは、先生方にさまざまなジャンルの展示につれていっていただいたときでした。そのなかに今私が所属している日本美術院の展示があり、初めて現代の日本画と言うものに触れ、絵画にはさまざまな表現方法があると知りました。それからは私も日本画を描くために、画壇の先生が所属する大学の受験を見据えて意欲的に取り組むことができたと思います。先生や先輩にはいろいろな作家活動をされている方がいるので、直接お話が聞けたことはとても励みになりました。進路で悩んだときに経験された方の言葉は今でも忘れません。
また先生だけでなく、同じ目標を持った仲間がいる環境はとても勉強になりました。多くの受講生の作品を見ることができたり、卒業生の方のデモンストレーションを見ることができ、基本だけでなくいろいろな技法を知ることができました。ただ教えられたことだけをするのではなく、見て学ぶ力ということも鍛えられたように思います。
努力して成長しないことは無いと思います。進んでいないように感じるのでしたらそれは周りも同じように成長しているからだと思います。他人と比べると落ち込むこともあるかもしれませんが、必ず前に進んでいるので、自分を信じてやりたいことを第一にやりきってください。

作品

  • 1.椨 2.霙 3.見据える

1.椨
2.霙
3.見据える

経歴

愛知県立芸術大学 日本画前期博士課程修了
2005-2006年度 基礎高1・2年専科/2007年度 日本画専科/2008-2009年度 日本画本科
名古屋西高校出身

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どこに行こうと強い気持ちが自分を支えてくれます。

小学生の頃から絵を描くのが好きで将来は絵描きになるんだと思っていました。高校の授業ではデッサン以外に油絵、日本画、デザイン、彫刻の授業を受けなんと彫刻の授業では石を彫るという変わった高校でした。他を知らないので石を彫ることに疑問はありませんでした。
ほとんど形にすることはできませんでしたが体育会系の私は身体を動かしてつくることが好きなんだなと感じました。同時に石を打ったときの音や感覚がずっと忘れられずこの年に私は、(難しい事は考えず)石を絶対彫っていこうと決めました。デッサンしかやってこなかった私は彫刻科の受験に落ち、縁のあった河合塾に行きました。
河合塾では私は決して良い生徒ではありませんでした。それでも甘い私に本気で厳しく向かい合ってくれたこと、永遠に落ち込む私を励ましてくれた講師陣や同期の仲間たちに数え切れないほど救われました。
第一志望には落ちましたが負けたとは思いませんでした。自分はもうどこの大学に行っても大丈夫だという自信がありました。こういう気持ちは大切だと思います。
どこに行こうと強い気持ちが自分を支えてくれます。大学ではとにかくがむしゃらに外に出ても一人で頑張れるようにあらゆることに取り組みました。
大学院はいろいろな葛藤で東京芸大を選びました。居心地がいい場所から新環境へ移るのは辛いことが多いですがいい選択でした。大学の良し悪しでは無くて自分の行動、気持ちが重要です。あとちょっとの勇気も。
この選択の甲斐あってご縁のあった岐阜の石材加工会社のご好意で一角を借り、石の彫刻家として活動しています。夢が叶ったという感覚はありませんが賢明にコツコツと楽しく作家人生を生き抜いていきたいです。
河合塾でのことはいまだに思い出しては助けられることがあります。あのときわからなくてもジワジワと効いてくるのがなんとも不思議です。

作品

  • 1.『STARTING FROM WHITE』photo:Soga Toshinari(studio BAUHAUS) 2.『Stellar light』 3.『花ぐもり』 4.『GOODNIGHT CAT’ S』

1.『STARTING FROM WHITE』photo:Soga Toshinari(studio BAUHAUS)
2.『Stellar light』
3.『花ぐもり』
4.『GOODNIGHT CAT’ S』

経歴

東京芸術大学 大学院美術研究科彫刻専攻修了
多摩美術大学 彫刻学科卒業
2008-2010年度 彫刻本科
高円高校出身

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脇田 あすか さん

デザイン・工芸専攻

アートディレクター・グラフィックデザイナー

脇田 あすか さん

野田 怜眞 さん

デザイン・工芸専攻

金沢卯辰山工芸工房研修者 兼、作家

野田 怜眞 さん

髙木 柚衣 さん

美術総合・京都市芸大専攻

UIUXデザイナー

髙木 柚衣 さん

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頑張った経験はずっとずっと自分を支えてくれます。

中高学生のころ、まわりに合わせてだんだんとお洒落なものが気になって、お小遣いでいろんな雑貨やお洋服を手にして、もっともっと素敵なものがほしい、素敵なものをつくってみたい、と思っていました。ノートの表紙や友達に渡す手紙を可愛くするために、飾りの絵を描いたり文字のあしらいを考えたりするのが楽しくて、そういう何気ないありふれた気持ちがデザインの道を志したキッカケです。
今、当時は名前も知らなかった「アートディレクター」「グラフィックデザイナー」という職業として活動しています。河合塾に入ってから、そういう仕事があることを知りました。先生や同期にたくさんのデザイナーの名前を教えてもらったとき、目の前の世界がぶわっと開けた気がしました。
塾で毎日のように絵を描き、ものをつくること、そしてそれを他の人に見せて意見をもらえることは、本当に稀有な経験でした。つくることは家で1人でもできるけど、同じ気持ちを持つ仲間たちとそれを応援してくれる先生がいるのは本当に最高の環境です。大人になってから簡単に得られるものではありません。
受験生活は楽しいことばかりではないけど、頑張った経験はずっとずっと自分を支えてくれます。あのとき頑張れた自分ならもっと頑張る、と自分を鼓舞してます。これからもずっとずっと、デザインを続けていくつもりです。

作品

  • 1.PARCO 2019SS ポスター 2.SYUUU/ドライブ BaseBallBear 3.PARLOR IBE

1.PARCO 2019SS ポスター はじめてアートディレクターとして担当した仕事。
2.SYUUU/ドライブ BaseBallBear 紙からこだわったCDのジャケットデザイン。
3.PARLOR IBE とにかく自分の心がときめくように考えたパッケージデザイン。

経歴

東京芸術大学 大学院美術研究科デザイン専攻修士課程修了
東京芸術大学 デザイン科卒業
2010年度 デザイン・工芸平日専科/2011年度 デザイン・工芸本科
愛知淑徳高校出身

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表現の基礎づくりを。

私の作品は興福寺の阿修羅と同じ“脱活乾漆”という日本古来の漆芸技法で制作をしています。
漆芸(うるし)というと黒や朱の器を想像するかもしれませんね。現在は研究が進み自由な造形と鮮やかな色彩表現が可能なんです。
現代の人々に伝わりやすい形で日本漆芸の魅力を伝えられたらと思っています。
作家活動を続けていて大切なことは、モチーフや素材が決まった後にイメージ通りの作品を生み出せるかどうかです。
モチーフを的確に認識できる目。イメージした形をつくる道具、手の動かし方。そして他人が見たときにどう受け取るかを常に意識しています。その基礎を培えたのが予備校での課題です。
制作と講評を繰り返して審美眼、技術、客観視を身につけることができました。
ただ予備校の頃を思い出すと決して楽しかったとは言えません。正解の無い美術だからこそ、自分の固定観念を常に疑いながら制作しなければなりません。ストレスは多いと思いますが、それに打ち勝つ自信を持って日々新しい“気付き”を探し続けてください。
みなさんが志望校に合格できることを願っています!

作品

  • 1.forme 2.Vanana「煌」 3.Vanana「刺」

1.forme
2.Vanana「煌」
3.Vanana「刺」

経歴

東京芸術大学 大学院美術研究科工芸専攻修士課程修了
東京芸術大学 工芸科卒業
2013年度 デザイン・工芸平日専科/2014年度 デザイン・工芸本科
起工業高校(現:一宮起工科高校)出身

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魅力的で楽しいデザインを考えて制作をできていることは幸せです。

将来絵を描くことに関係する仕事がしたいと思い、京都市立芸術大学に入学しました。その後、木の木目が紙に写しとられる木版画の表現に魅力を感じ版画専攻で木版画を学びました。
入学直後は、大学卒業後に自分が何をしていきたいかが分からず悩んでいました。
そんな中で、他専攻の友人や先輩方と大学のイベントや部活で出会い関わる中で、デザインという道があることを知りました。
また、自分が興味のあるものは誰かが喜んだり楽しむものをつくることだと気がつきました。
それから、チラシなどを制作するアルバイトをしたり、大学でイベント開催をしたりしました。
それらの中でつくった作品を見ていただき、今はゲームのUIUXデザイナーとして働いています。使う人の目線に立ち、魅力的で楽しいデザインを常に考えて制作をできていることはとても幸せです。
大学で過ごした時間は、自分で気づいていなかった「自分の好きなこと」を見つけられる、貴重なものだなと強く感じています。

作品

  • 1.雀 2.鏡餅 3.大学で開催したイベントで作成したフライヤー。 4.「犬を飼う前に知って欲しいこと」をテーマに作成したボードゲーム。

1.雀
2.鏡餅
3.大学で開催したイベントで作成したフライヤー。
4.「犬を飼う前に知って欲しいこと」をテーマに作成したボードゲーム。

経歴

京都市立芸術大学 版画専攻卒業
2014年度 基礎高1・2専科/2015年度 京都市芸大専科
向陽高校出身

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碓井 ゆい さん

油絵専攻

美術家

碓井 ゆい さん

阪本 トクロウ さん

日本画専攻

画家

阪本 トクロウ さん

保井 智貴 さん

彫刻専攻

彫刻家

保井 智貴 さん

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良い作品が出来たときの喜びは何ものにも変え難い

中学生の頃から漠然と、美術大学に行きたい、と考えるようになり、高校一年生のときに日曜日の基礎専攻に通い始め、その後油絵科で一浪して合格するまでお世話になりました。
毎日の課題と指導してくださった先生方のことだけではなく、仲の良い友人と廊下に座り込んで喋ったり、海外の展覧会を見てきた講師の先生に話を聞いたりと、色んな思い出があります。
あの頃は日々一枚の画面を仕上げることで精一杯で、でもとても楽しかったように記憶しています。
今は、受験、という目標がある上での制作ではあると思います。でも、鉛筆と木炭どちらが好きか、油絵具をどう画面に乗せていけば伝わるのか、など、手と素材を通して考えたり発見したりするいう点では、受験以降の作品制作と同じことを、もう始めていると言えると思います。
もちろん楽しいだけではなく、ときにはもどかしく苦しいこともあると思いますが、良い作品が出来たときの喜びは何ものにも変え難いはずです。
受験生のみなさん、頑張って下さい。

作品

  • 作品画像

上2点©小暮伸也 下©上野則宏

経歴

東京都立国立高校卒業
多摩美術大学美術学部絵画学科卒業
京都市立芸術大学大学院美術研究科修了

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今の仕事について

現在生きているこの世界を私たちはどのように見ているのか? という視点、眺め。現在生きている世界の感触、空気。そういったものを作品化しています。その作品をギャラリーで発表し、作品を売ってもらい生活しています。普段はアトリエで制作し、たまに展覧会を観に行ったり、取材に出かけたりします。

今に至る経緯

大学を出てからは、画家のアシスタントをしながらギャラリーを借りて発表していました。コンクールなどにもいくつか出品しました。アシスタントをさせてもらっていた画家の方からギャラリーを紹介してもらったり、個展を観に来てくれて作品を気に入ってくれたギャラリストの方の誘いを受け、展示をさせてもらったりしています。大学に行くと色々な作家とつながりが持てます。そのつながりで作家活動ができているとも思っています。

河合塾時代

浪人中は休みなく描いていましたが、目標も明確でとても濃密で充実していた時間でした。うまくいかず停滞していた時は辛かったですが、夏期講習の終わりくらいに色々とかみ合って飛躍的に上達した成功体験は、現在の制作にも良い経験になっています。予備校では講師との距離が近く、美術作家としての、ものの見方や考え方により実感をもって接することができたのも良かったです。コンクールなどで1番から最下位まで順位を付けてしまうようなことも好きで高揚していましたね。コンクールはなんとか1番になりたいなぁと思っていました(でも、一度も1番にはなれなかった…)。

受験生へのメッセージ

作品のうまくいっていないマイナス面を改善しても、合格するのは難しいのではないかと思っています。自分の絵の良いところを見つけてそれを伸ばすほうが効果的だと思います。作品のどこを観てほしいかという魅力的なものを作るということと、何より一番大事なのは自信を持つことでしょう。得意なものを伸ばして得意技にして、その得意技で勝つというのが近道だと思います。(講師の先生に色が汚いとか、形が悪いとか、構図が悪いとか…色々言われると思いますが、それもきちんと聞いておきましょう。ある瞬間に急に理解できて役に立つことでしょう。)

作品

  • 呼吸

「呼吸」 2007年制作 100×100cm
素材:アクリル絵の具、雲肌麻紙

経歴

1999 東京芸術大学卒業
2001 早見芸術学園日本画塾卒業
2005 大木記念美術家助成基金成果発表展(山梨県立美術館)
2006 第3回東山魁夷記念日経日本画大賞展(ニューオータニ美術館)
2007 東京コンテンポラリーアートフェア(東京美術倶楽部)
2007 ART Shanghai2007(上海世貿商城)
2008 VOCA2008(上野の森美術館)
2009 アートフェア東京(東京国際フォーラム)

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今の仕事について

私の仕事は、アーティストとして彫刻を制作して、ギャラリーや美術館などで展示をしています。私の作品は、静謐な空間をイメージして、乾漆という日本古来の伝統的な技法で、漆、麻布、石、螺鈿などの自然素材を中心に、人物や動物などをモチーフにして制作しています。

今に至る経緯

大学院の修了制作展で展示した作品がきっかけで、展覧会の企画や画商さんからの依頼があり、新作を制作し展覧会を行ったことで、私のアーティストとしての活動が始まりました。展覧会を重ねていくうちに、作品を通して、国内外の美術関係者、アートコレクターや一般の美術ファンとの出会いが増え、作品が売れ、いろいろなジャンルの方と仕事ができるようになり、アーティストとして認められるようになりました。

河合塾時代

河合塾時代は、美術を通していろいろなものを見たり、考えたり、自分のやりたいことを真剣に始めた時期でした。個性的な人たちがいる中で、自分なりの表現をするのが毎日新鮮でした。また、浪人時代は、受かるためという現実と、自己表現の理想の間に矛盾を感じ、とても悩んだ時期でもありました。20歳前後に、そういった経験ができたことで、今、社会の中で自分が表現したいことを続けていくための、大きな基盤が作れたと思っています。

受験生へのメッセージ

自分らしさを発見し、表現できるようになるには、たくさんの観察と、たくさんの失敗をしなくてはなりません。しかし、失敗をネガティブなことと捉えるのではなく、一つの発見として捉え、楽しめるようになれば、本当に自分らしい表現が見えてくると思います。

作品

  • echo

「echo」
2007年制作
163×50×28cm、170×50×28cm
漆、麻布、螺鈿、錫粉、岩絵具、膠、レース、黒曜石、大理石、etc
©Tomotaka Yasui
撮影:佐藤暢隆

経歴

1974 ベルギー、アントワープ生まれ
2001 東京芸術大学大学院修士課程修了
2006 アート・イン・レジデンス The Jerusalem Center For The Visual Arts(エルサレム)、ポーラ美術振興財団より国際交流助成を受ける。
2005年に第34回中原悌二郎賞優秀賞受賞

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池田 学 さん

デザイン・工芸専攻

画家

池田 学 さん

石原 海 さん

先端芸術表現専攻

アーティスト/映像作家

石原 海 さん

梶川 裕太郎 さん

基礎専攻

株式会社TBWA\HAKUHODO
*博報堂から2019年現在出向中

梶川 裕太郎 さん

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受験生へのメッセージ

受験に限らず、目の前のいろいろな不安とか、どの時期にもあると思うけれど、今自分が作っている一枚の絵に集中することが一番大事で。いろいろ考えても先のことはわからない。はっきりわかっているのは、今作っている作品に魂を込めなければいけないってこと。ひとつひとつの作品に集中して、自分が凄くいい作品ができた、やった! と思えるかが一番大事だと思います。それは何においても自分が一番大事にしていることです。

作品

  • 「再生」 2001 ©IKEDA Manabu,  Courtesy Mizuma Art Gallery 浜松市美術館蔵

「再生」 2001 ©IKEDA Manabu, Courtesy Mizuma Art Gallery 浜松市美術館蔵

経歴

東京芸術大学大学院 デザイン科 修了
1993年デザイン・工芸専攻 本科
県立佐賀北高校出身

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死ぬ直前に河合塾を思い出すかもしれない

本当は映画が勉強したかったのだけど、とにかくお金がなかったので、映像制作が学べる国立大学を探していて先端科を見つけました。その経緯で現代美術と出会い、自分の中にコンセプチュアルな要素を大切にする文脈ができたので結果的には悪くなかったと思います。あとは伊藤俊治さんの本をよく読んでいて、この教授に学びたいなと思ったのも大きなきっかけでした。20世紀エロス、裸体の森へ、聖なる肉体、本のタイトルがまずかっこよすぎ。
映画からヴィデオインスタレーション、写真や執筆といったジャンルをまたいで作品制作をしながら、広告の仕事もしています。河合塾で学んでいたとき松田先生に「いつかはシャネルとかルイヴィトンの映像が撮りたい」って言ったら「そんなことは数年後にできるようになってるから、それよりも作品について考えろ!」とか適当なことを言われた記憶があるのですが、確かに数年後にシャネルとかルイヴィトンの映像を作ることができました。そしていまだに松田さんの言葉を胸に、広告とはかけ離れた作品制作も日々がんばって作っています。
死ぬ直前に河合塾を思い出すかもしれない、というくらいかなりインパクトのある経験でした。高校生の時はこの世に存在する大人、特に先生っていう存在をなんなら嫌悪していたのだけど、河合塾の先端の先生たちがそれを塗り替えてくれた。知らないことを人に教えてもらうということが最高なことだっていうのもこの場所で知りました。あと、新宿にあるから授業終わりに街をぷらぷらするのも楽しかった。いまでも河合塾での熱狂の一年が自分の人生の重要なところにあります。

作品

  • 1.監督映画『The garden apartment』オフィシャルポスター 2.Photography for Dior × Ginza Magazine

1.監督映画『The garden apartment』オフィシャルポスター
2.Photography for Dior × Ginza Magazine

経歴

アーティスト/映像作家
2012年 先端芸術表現専攻(在籍)
東京藝術大学 先端芸術表現科卒業

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始めは“とりあえず”でもグラフィックデザイナーに!

絵は上手くないけど「なにかものづくりがしたい」という大雑把な目標から、高校2年の時に基礎専攻に通い始めました。基礎専攻の時は、グラフィックデザインから建築まで幅広いジャンルに主体的に触れることができたので、そのおかげで「グラフィックデザイナーになりたい」という一つの目標を持つことができました。美術の世界に行く人は、最初から大きな夢がある人とは限りません。とりあえずいろんなものに触れてみることで、自分の可能性を広げられる場所に出会えると思います。

作品

  • 1.現在のお仕事の作品 2.3.大学在学中の作品(2点)

1.現在のお仕事の作品
2.3.大学在学中の作品(2点)

経歴

東京・東京農業大学第一高校出身

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